- 20代での転職は2回まで
- 人材紹介会社から戦力外通告
- 顧客から1本の電話
20代での転職は2回まで
結論から言いますと、20代で転職活動が容易なのは2回までです。3回目からは急激に難易度があがり、相当苦戦すると思いますので、どうしても会社がつらいという時でも転職先を確保してから退職を願い出ましょう。
さて前回お話をした通り、リーマンショックの影響をもろに受けて人材系の会社はどこも苦しく、多くの企業で倒産寸前まで追い込まれました。
当時ぼくが所属していた企業も例外なく拠点の撤退に加えて人件費の大幅な削減に手を付けている状況でした。
ぼくは前回の転職活動があまりにもスムーズに進んだために今回もすぐに次が決まるだろうと楽観的に考えて、給料を大幅に下げて東京に転勤するくらいなら退職をして転職するという決断をしました。
退職を申し出てすぐにしたことは前回の転職活動でもお世話になった「インテリジェンス(現パーソルキャリア)」さんへの連絡でした。
メールで「インテリジェンス(現パーソルキャリア)」のAさんに直接問い合わせたところ、すぐに会いましょうとなり面談をすることになりました。
人材紹介会社からすると転職先を紹介して支援することは売上につながることを意味するのでぼくという商材はAさんからしたらリピート受注につながるチャンスということで一刻も早く次の転職先を決めて収入を確保したいぼくと利害が一致していたのでしょう。
いざ面談となりAさんが求人を実施している企業の求職票を見せてくれたのですが、正直な感想が「えっ、これだけ?」でした。
リーマンショックという外的要因もあり求人自体が減っていたことも影響していたのですが、それ以上に20代で3回目の転職ということは条件としてかなり不利という現実がありました。Aさんからも書類選考を出す条件で転職回数の足切りがあることを知らされました。
当時のぼくは「リクナビNEXT」のような求人媒体を専門で扱っており、人材紹介という形態での採用側企業への理解が浅かったのです。求人媒体は掲載期間に応じてフィーが発生することに対して人材紹介は採用して初めてフィーが発生します。しかも人材紹介のフィーは求職者へ提示する年収の30%前後と高額です。
採用側とすれば採用に慎重にもなりますし、面接するにも人事の工数がかかってしまうので、最初から選考を進める求職者へのハードルも高めに設定しているのです。このような背景もありぼくに提示された求人票の数は前回の5分の1程度になっていました。
それでもぼくは家賃や生活費が日々発生するというプレッシャーの中で選考に進めていただきたい企業をピックアップしていきました。
人材紹介会社から戦力外通告
仕事内容および待遇面、企業の口コミなどを含めて検討し、興味のある企業には随時選考を進めていただいていました。
前回の転職時にはすべて書類選考は通過して面接まで進んだのですが、今回はAさんとの面談の結果を踏まえて半分ぐらいは書類選考で落とされるかなと考えていましたが、その考えが甘かったことがすぐにわかりました。
結果はすべて書類選考ではじかれてしまいました。そこで志望度の高くなかった(仕事内容、待遇面で第一志望から外していた)企業への応募を進めることにしました。
しかし、ここでもすべて数日以内に書類選考で不採用通知が届くことになります。
正直、ここまで自分自身の市場価値が落ちているとは夢にも思いませんでした。わずか2年ほど前までは応募したどの企業からも「うちに来ませんか?」と言っていただけていたのが、いまや「お会いするまでもなくお断りします」に評価が変わってしまったのです。
不採用の連絡と同時に人材紹介会社には求人企業から不採用理由が伝えられるのですが、ほとんどすべての企業が「転職回数が多いので弊社で定着するイメージがわかない」というものでした。
リーマンショックの影響を考えてもいかに企業が転職回数に難色を示していたかという証明だと思います。
3社目から4社目と1社増えただけでここまで見事に対応が変わるのかと自分の想像力の欠如を悔やみました。
とはいえ、職務経歴という過去は変えることができないので、自分の状況を受け入れ次なる転職先を探すしかありません。ぼーっとしている間にも家賃、光熱費、生活費で貯蓄が燃えていくからです。
最終的には志望度の低かった(仕事内容、待遇面ともにあまり興味のない)企業への応募を進めていました。しかし、結果は惨敗。すべて数日でお祈りメール(不採用通知)です。
自分が興味ないといっていた企業からも「あなたには興味ありません」と断られてしまいました。いまでこそ企業が利益を出し続けて存続し続けることの難しさを理解していますから、当時のぼくに会う機会があったら「うぬぼれるな」と一喝していると思います。どんな企業でも利益を出して存続している会社は本当に素晴らしいと今なら思えます。
すべての企業から面接の機会すらももらえなかったぼくにAさんは申し訳なさそうに言いました。
「もう紹介できる企業がありません」
戦力外通告です。
簡単に次が決まると思い込んでいた自分としては結構なショックを受けたことを覚えています。Aさんにも売上にならないぼくに対して工数だけを使わせてしまう結果となり、こちらこそ申し訳ない思いになりました。
顧客から1本の電話
求人媒体にも自己応募はしていましたが、結果は当たり前のように「不採用通知」が届き続けました。メールが届いても開く前から「あー、またダメだったか」と思ってしまうくらいにネガティブでした。
そんな不採用通知を家で見ていたその時に携帯へ人材会社で働いていた時の顧客から電話が入りました。
「独立するから営業を手伝ってほしいんだけど」
もうありがたすぎて何をするかも聞かずに「手伝います」って回答していました。
いまではありえないことですね。とにかく次の仕事を見つけないとというプレッシャーで思考停止状態でした。
振り返るとこんなバカな選択はないと当時のぼくの軽率さに寒気がします。仕事内容も待遇もどんなメンバーで仕事をするのかすらも確認せずに転職を決めましたからね。
結果論で言うと、今回のオファーは過去の経験が活きる仕事内容で待遇面も前職と変わらない給料を出してくれたので、当時の自分の状況としてはほぼベストな転職先となりました。代表もぼくの顧客なのでお互いに性格や営業スタイルも理解していましたから。
最終的には顧客に救われる形で転職先が無事に決まりましたが、独立というタイミングが合わなければぼくはどうなっていたのかと想像するだけでもいやになります。
お伝えしたかったことは1つだけ、「会社(100名以下の規模の会社なら社長)が我慢できないくらい嫌いでない限りは簡単に転職なんてカードは切ってはいけない」ということです。
安易な転職は消すことのできないです。職務経歴書に負の遺産として蓄積します。あなたという人格や能力を見せる前に職務経歴書に面接の機会を奪われることになります。
今日も最後までありがとうございました。
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